2017年1月11日水曜日

METEX P-10(通称:秋月テスター)を PC へ繋げるように改造した

かれこれ 10 年くらい、秋月で買った METEX P-10 を愛用しています。安価ながらオートレンジで、かつコンパクトなのが便利です。残念ながら、今はもう販売していないようです。

METEX P-10

このテスターに内蔵されているチップには、LCD に表示されている値を、シリアル出力する機能がついています。METEX P-10 ではこの機能は使われていませんが、簡単な改造で使えるようになります。指示値を取り出せるようになると、データロガーとして使えます。すでに、このような改造をされた方は多くいて、"METEX P-10 改造" で Google 検索するとたくさん製作例が出てきます。私も、これら先例を参考に、手元の P-10 を改造してみました。

まず、本体を分解します。電池カバーを開けてボタン電池を取り外し、裏側から 4 本のネジを外します。電池カバーを止めるネジと、ケースを止めるネジは、それぞれ違うものが使われていますので混同しないように注意しましょう。分解作業で特に難しいところはありません。

樹脂のツメで基板に固定されている LCD を取り外すと、チップ(FS9711_LP3) が見えます。このチップの、84 番ピン(ENTX) を GND に落とすと、シリアル出力機能が有効になります。シリアル信号は、64 番ピン(TXD) から出力されます。チップのデータシートは、こちらから入手できるようです。

64 番ピンと 84 番ピンをジュンフロン線で引き出します。
64番ピン(TXD)と84番ピン(ENTX)をジュンフロン線で引き出す

さらにテスターの Vdd と GND を引き出します。Vdd は、C2 のプラス側から引きました。テスターのスイッチを入れた時だけ、ここに電源電圧がかかります。GND は、ピエゾの黒から引きました。
airvariable さんの作例だと、ピエゾの赤から引いてるのですが、私の手元にあった P-10 はバージョン違いなのか、ピエゾの黒が GND になっていました。

Vdd と GND を引き出す

信号と電源を基板から引き出したら、ケースに小さな穴を開けて、引き出した 4 本の線を、本体右側にあるプローブを格納するスペースに引き出しました。このスペースは、プローブを収めるにはわずかに高さが足りてなくて、うまくプローブが入りません。そのため、このテスターを購入してから一度もここにプローブをしまったことはありません。今回は、この空間に、PC 通信用の回路を収納します。

ケースを閉じて電源を入れてみます。ENTX と GND をショートすると、LCD に "RS232" の文字が現れます。

"RS232" の表示が LCD に出る

この状態で TXD をオシロで見ると、それらしい信号が出ていました。そこで、秋月の USB シリアル変換モジュール を使って PC に接続し、Ts Digital Multi Meter Viewer で指示値を受信できるか確認しました。Ts Digital Multi Meter Viewer では、テスターの機種設定を "WENS 20T" に設定します。機種を設定後、ツールバーの "CONNECT" ボタンを押すと通信が始まります。

回路の動作確認、指示値を PC で受け取ることができた

ブレッドボード上で動作確認ができたので、ユニバーサル基板に回路を組みます。シリアル出力の有効・無効を切り替えるため、ENTX-GND 間をショートするスイッチをつけました。また、テスター側の回路と、PC 側(USB シリアル変換モジュール)の回路の間は、フォトカプラ (SHARP PC817) で絶縁しました。

随時動作確認しつつ、完成した基板をケースに収めます。テスターの基板から引き出した線が(作業の都合で)長く残ってしまったのですが、どうせこのスペースは他に使い道もないので、マスキングテープで雑に止めて処理します。また、USB ケーブル抜き差しで基板が動かないよう、ホットボンドで固定しました。

USB-シリアル変換回路をケースに収めた

USB 端子が出てくるあたりでケースに穴を開けました。穴が大きすぎました。もっと小さな穴でよかったようです。

ケース側面に穴をあけて、USB 端子にアクセスできるようにした

最後の動作確認を行います。ケースを閉め、ケースにあけた穴から USB ケーブルを差し込み、PC と繋ぎました。Ts Digital Multi Meter Viewer で LCD 指示値を受け取り、指示値の時間変化がグラフで描画されています。ケースのスリットから USB シリアル変換モジュールのパイロットLED(やたら明るい)が覗いています。改造感が漂います。

すべて組みあがったあとに PC に接続して動作確認

この改造に使った部品は以下の通りです。
  • 秋月の 超小型 USB シリアル変換モジュール, 600円
  • フォトカプラ PC817, 50円
  • カーボン抵抗 330Ω, 4.7kΩ(手持ちの部品から)
  • ユニバーサル基板(なにかの切れ端)
製作例を公開してくださった皆様に感謝します。この作例では、念のためテスターからの信号をフォトカプラで絶縁しましたが、それでも、このように改造をしたテスターを高電圧回路の測定に用いるのは、避けたほうが賢明でしょう。

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